「いつもいい人でいなきゃいけない…」
「私が我慢すれば丸く収まる…」
そのように、自分の意見を言えず、我慢することに疲れてしまっている方も居るのではないでしょうか?
周りからは「優しい子」と言われるけれど、なかなか本心が言えなくて、苦しんでしまうこともあるかと思います。
あなたが抱える悩みは、決してあなたのせいではなく「アダルトチルドレン」という心のクセが原因かもしれません。
この記事では、アダルトチルドレンに長年苦しんだ経験と、専門的知見から、アダルトチルドレンの解説や、少し生きるのが楽になる方法を、紹介していきます。
1. アダルトチルドレンとは?― あなたが“頑張りすぎた”証
アダルトチルドレン(AC)は、病気や障がいではありません。子供の頃に、親からの期待に応えようとしたり、家族のバランスを取ろうとしたりする中で、「生き抜くために身につけた“処世術”を持ったまま大人になった人」のことを指す、優しさと努力の証です。
親の顔色を窺い、自分の意見は言わず、我慢は当たり前だった。休むことすら許されなかった。
もし、あなたの子供時代がそうだったとしたら、それは、あなたが子供時代を必死に生き抜いてきた「勲章」のようなものです。あなたのその「生きづらさ」は、欠点ではなく、あなたの優しさと強さの証なのです。
2.「もしかして私も?」生きづらさの“あるある”チェックリスト
「いい子じゃないと、自分に価値はない」と感じてしまう…。そんなアダルトチルドレンの傾向について、具体的なチェックリストで確認してみましょう。
- 他人の期待に応えようとしすぎて、自分の本当の気持ちが分からなくなる
- 常に完璧を目指していて、「まあ、いっか」と自分を許すのが苦手
- 人間関係で、相手の考えていることを深読みしすぎて、ぐったり疲れてしまう
- 人からのお願いを断れず、自分を後回しにしてしまう
- 「見捨てられるかもしれない」という不安が、常に心のどこかにある
- 自分が本当に楽しいと感じることが、何なのか分からない
- いつか見放されてしまわないか、不安に思う
あなたは、上記のチェック項目にいくつ当てはまりましたか?もし、いずれかに当てはまっていたら、あなたは、アダルトチルドレンの傾向があります。
私は、上記の項目すべてに該当していました。自分のことを後回しにしてしまい、完璧を目指した結果、心が限界に達した経験があります。
ここからは、アダルトチルドレンについて、より深く一緒に見ていきましょう。
3. なぜ「生きづらさ」は生まれるの?アダルトチルドレンの原因と6つのタイプ
前の章のチェックリストで、たくさん当てはまるものがあって、「どうして、私はこんな風に感じてしまうんだろう?」と、もやもやとしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この章では、その「生きづらさ」が、一体どこからやってきたのか、そのルーツを少しだけ探っていきます。
子供時代のことを思い出すのは、少し辛い作業かもしれません。しかし、これは誰かを責めるためではなく、「自分を理解し、癒すため」の、大切なプロセスです。 では、一緒に、ゆっくりと見ていきましょう。
① 原因は「機能不全家族」
アダルトチルドレンの傾向は、子供が子供らしく、安心して過ごすことが難しい「機能不全家族」という環境で育ったことが、背景にあると言われています。
親がアルコール依存症だったり、虐待があったり、過干渉だったり…。子供が小さな体で、必死に家族のバランスを取ろうとしてきたのです。
私の場合は、幼少期に両親から虐待に合い、中学時代に両親が離婚し、父子家庭になり、歳の離れた妹の心のケアを私が行っていたりしました。
② 生き抜くための6つの「役割(タイプ)」
その環境で生き抜くために、子供は無意識に「役割」を演じます。あなたはどのタイプに当てはまるでしょうか。
- ヒーロー(英雄):親の期待に応える「完璧な良い子」
- スケープゴート(問題児):家族の問題から目をそらすため、わざと問題を起こす
- ロストチャイルド(いない子):存在感を消し、家族に迷惑をかけないようにする
- ピエロ(道化師):家庭内の緊張を和らげるため、おどけて振る舞う
- ケアテイカー(世話役):家族に奉仕し、世話をし、ケアを行う
- イネイブラー(支え役):問題行動を起こす家族を、かいがいしく世話してしまう
私は、特に「ケアテイカー(世話役)」要素が大きかったかもしれません。「妹のために自分が強くあらなきゃ」「母親の話を聞いてあげなきゃ」と、いつも必死でした。
4.【よくある質問】アダルトチルドレンと発達障害・愛着障害との違いは?
この項目では、アダルトチルドレンについて、よく耳にする疑問を2つ、解説していきます。
Q. アダルトチルドレンは「病気」?病院で診断されるの?
アダルトチルドレンは医学的な診断名ではないため、病院で「あなたはアダルトチルドレンです」と診断されることはありません。しかし、その生きづらさから、うつ病や不安障害などを併発し、治療が必要になることは多くあります。
Q. 発達障害やHSPと、どう違うの?
とても簡単に言うと、「発達障害」や「HSP」は生まれ持った脳の特性、「アダルトチルドレン」は育った環境による後天的な心のクセ、と言えます。併発することもありますが、原因が異なります。
「アダルトチルドレン」とだけ聞くと、心の病気と誤解されがちですが、上記のQ&Aでも解説した通り、アダルトチルドレンは、後天的な心や思考のクセです。
私も、「病気なのかな…」と不安に思った時期がありましたが、正しく理解することで、自分に合った付き合い方を見つけることができました。
5. 自分を癒す時間。今日からできる「心の処方箋」3選
「もう、疲れた…」と感じているあなたへ。アダルトチルドレンの苦しみから抜け出す道は、必ず存在します。この項目では、私が実際に試して効果があった、「はじめの一歩」を紹介していきます。
- 処方箋①:自分の物語を「書く」ことで、自分を客観視する: 誰に見せるためでもなく、ただ、自分の気持ちや過去の出来事を文章に綴ってみる。そうすることで、「ああ、私はこんな風に感じていたんだな」と、自分を客観的に理解するきっかけになります。
- 処方箋②:本を読んで、想像力を膨らませる :たくさんの物語に触れることで、「こんな生き方もあるんだ」「こんな考え方もあるんだ」と、あなたが知らなかった世界の扉が開きます。読書をすることで、「こうあるべき」という呪いを解く、大きな力になります。
- 処方箋③:安全な場所で、本音を話してみる :「こんなこと言ったら、変に思われるかな…」と思わずに話せる、本当に信頼できる友人やカウンセラーなどに、少しだけ勇気を出して話してみる。ジャッジされずに自分の気持ちを受け止めてもらう経験は、傷ついた心を癒してくれます。
植物を育てる時に、水をやってすぐには成長しないように、アダルトチルドレンと向き合い、上手に付き合っていくためには、時間がかかります。
私は、アダルトチルドレンだと自覚してから上手に付き合えるようになるまでに、2年ほどかかりました。「2年」と聞くと長いように感じるかもしれませんが、これからの人生を、穏やかに生きていくための準備期間と考えると、心が楽になるかと思います。
6. まとめ:あなたは、あなたのままで愛される価値がある

最後に、過去の私と、そして今のあなたに、一番伝えたかった言葉を贈ります。
「あなたは、あなたの人生を生きていい」
親に縛られた子供時代があったからこそ、私たちは、誰よりも「自分」をおろそかにしてしまいがちです。でも、もう大丈夫。 これからのあなたの人生の主人公は、あなた自身です。
この記事が、あなたがその素晴らしい物語を始めるための、小さなきっかけになれたら幸いです。焦らず、一歩ずつ、着実に、前進していきましょう。
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