「鏡を見るたびに、自分の顔の欠点ばかりを探してしまう…」
「周りは褒めてくれるのに、自分では『醜い』と感じて外に出るのが怖い…」
その苦しみは、決してあなたの「気にしすぎ」や「わがまま」ではありません。もしかしたらそれは、「醜形恐怖症(身体醜形障害)」という、心の状態が関係しているのかもしれません。
この記事では、その苦しみの正体と、自分を責める毎日から抜け出すための具体的なヒントを、優しく解説していきます。この記事を読み終わる頃には、鏡の中の自分を、今より少しだけ受け入れられるようになっているはずです。
もしかして私も?「醜形恐怖症」症状チェックリスト
まずは、ご自身の状態を客観的に知るために、専門機関が公表しているチェックリストを見てみましょう。 ご自身の行動や感情といくつ当てはまるかを、ご確認してみてください。
- ボディイメージ(自分の身体像への評価)の障害がある
- 自分は醜いというとらわれから、過剰に自分の容姿の確認を繰り返す
- 自分は醜いというとらわれから、生活への支障が出ている
この3つを満たしている場合、醜形恐怖症の可能性が高くなると言えます。
このうち、1.は自分では気付かない事もあるため、セルフチェック項目としては機能しない事もあります。「自分は醜い」と感じている本人が「この『自分は醜い』という評価は主観的なもので、客観的には違うのではないか」と客観的に自分を見つめ直すことは難しいからです。
しかし周囲の誰に聞いても「全然問題ないよ」と答えるのに、「自分は醜い」という気持ちが消えない場合、これは醜形恐怖症の可能性もあるかもしれない、という考えは持っておいても良いでしょう。
(せせらぎメンタルクリニック『醜形恐怖症の診断法とセルフチェック法』https://seseragi-mentalclinic.com/bdd-check/ 引用)
もし、上記の3つを満たしていて日常生活に支障が出ていると感じる場合は、あなた一人で悩む必要はありません。これから自分の容姿を「醜い」と感じてしまうその心の仕組みについて、一緒に見ていきましょう。
醜形恐怖症とは?―あなたの“目”ではなく“脳”が見せている幻。
醜形恐怖症とは、実際のご自身の容姿がどうであるかに関わらず、「自分は醜い」という強い思い込みにとらわれてしまう、心の状態です。
その様な思い込みはあなたの心が弱いからではなく、過去の経験などが影響している可能性が高いです。
例えば、ダイエットをきっかけに「容姿が優れていると周囲からの承認が得られる」という経験をしたことで、「完璧な容姿でなければ価値がない」と、脳が強く思い込んでしまっているのかもしれません。
それは、あなたが自分を守るために身につけた、心の癖のようなものなのです。
この状態では、あなたが目にするご自身の容姿を、脳が過小評価してしまっている状態と言えるでしょう。
美容整形では心が満たされない本当の理由。
「このパーツさえ治せばきっと楽になれるはず…」。そう考え、美容整形を検討する方も少なくありません。しかし多くの専門家は、醜形恐怖症の方への安易な美容整形に警鐘を鳴らしています。
なぜなら、問題の根本は「顔」や「身体」といった外見ではなく、「心(脳の認識)」にあるからです。
たとえ整形によって一つの悩みが解消されても、脳の「完璧でなければ」という思い込みが残っている限りまた別の部分が気になり始め、新たな悩みが生まれてしまいます。
それは、蛇口が壊れて水が溢れているのに、床を拭き続けているようなもの。まずは、蛇口そのものを修理する。つまり、心のケアをすることが苦しみから抜け出すための最も確実な道なのです。
[自己承認への道]すぐに実践できるアクション4選。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。この項目では、すぐに実践できる心を軽くするための具体的なアクションを、4つご紹介します。
① 比較のスイッチを、意識的にオフにする
SNSで目にする、きらびやかなインフルエンサーの姿。そういった情報が、あなたを苦しめる引き金になっていませんか?
心が疲れている時だけでもSNSのアカウントを一時的にミュートしたり、見る時間を制限したりと、物理的に比較する機会を減らしてみましょう。
② できごと日記をつけてみる
今日の食事はおいしかった。仕事でこんなことが上手くいった。空が綺麗だった。どんな些細なことでも構いません。「今日できたこと」「感じたこと」を、外見以外の視点で書き出してみましょう。
あなたの価値が容姿だけで決まるものではないことを、あなたの心に少しずつ思い出させてあげる作業になります。
③ 「調子がいい日」の自分を責めない
この悩みの辛いところは「今日は調子がいいかも」と思える日があるがゆえに、ふとしたキッカケで落ち込んだ時の、感情の落差が激しい点です。
調子がいい日に「もっと完璧でいられたはずなのに」と過去を悔やんだり、「またダメになるかも」と未来を憂うのではなく、「今は少しだけ穏やかだな」と、その瞬間だけを感じてあげることを意識してみてください。
④ 専門家という「心の味方」を頼る
心療内科やカウンセリングは、あなたのその苦しみを理解し、専門的な知識でサポートしてくれる心強い味方です。認知行動療法(CBT)などで、あなたの心を苦しめ続けている「思い込みの癖」を、少しずつ解きほぐしていくお手伝いをしてくれます。
まとめ:あなたがあなたでいてくれることが…。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
最後に、綺麗ごとに聞こえてしまうかもしれませんが、私からあなたにお伝えしたいことがあります。
「容姿が気になる気持ちはすごくよく分かります。でも、容姿があなたの価値のすべてを決めるわけではありません。あなたがあなたで居てくれることが何よりも尊く、素晴らしいことなのです」
その苦しみから抜け出す道は必ずあります。あなたは、決して一人ではありません。この記事が、その道を照らす小さな光となることを、心から願っています。
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